2025.12.6-12.15 〈Ku-kan ARTIST'S FES〉@空間(北海道札幌市中央区)

土の上で、光の影を踏む

On the land,step on the shadow of light

2025年
写真、アクリル板にUVダイレクトプリント
75mm×115mm

 この作品では、北海道内・札幌近郊に所在する主に明治以降の文化財や史跡を訪ね、その敷地や周辺に立つ樹木や地面を中心に撮影しています。
 調査にもとづく解説文や写真が整備された建物に比べ、不詳なところの多いこれらの景色には、時代で意味や重要度が変わってしまう遺跡や建造物よりも、かえって確かな力を持つ自然のはたらきが優位に感じられます。その場所全体の存在を、土の上の現象に帰すというイメージで、複数の被写体が混生しているモノクローム※の合成写真を作りました。
 ところで北海道という呼び名は、かつて和人の間では異民族の住む蝦夷地などと呼ばれたこの北方の島を、1869(明治2)年に命名することで日本の統治権が及ぶ場所であると内外に宣言し、移民や屯田兵による開拓と植民で勢力を広げ定着していったものです。その中で屯田兵育ての父と呼ばれた永山武四郎は、日ごろ彼らにこう声をかけ励ましていたそうです。
 「北海道の土になれ、わたしも北海道の土になる」。
 今日も地上には、かつてと同じように日の光が差し、人間は自身の影を連れて歩いています。

※現存する最古の写真画像は、1827年にフランスのジョセフ・ニセフォール・ニエプスが撮影したモノクローム(単色)のポジ像『ル・グラの自宅窓からの眺め』。また、日本人が撮影した写真として今に残る最古のものは、島津斉彬が被写体となった1857(安政4)年のダゲレオタイプ銀板写真と言われています。